愛媛県今治市桜井6丁目の綱敷天満宮(菅利之宮司)で20日夜、「宮島さん」として親しまれる厳島神社祭礼があった。7歳までの男児の成長を願って家族らが手作りのわら舟を海に流す珍しい行事で、真っ暗な海に幻想的な光景が広がった。
 綱敷天満宮には世界遺産の厳島神社(広島県廿日市市)の分社があり「宮島さん」は本社の管弦祭に合わせ毎年旧暦6月17日に行っている。菅宮司らによると、始まったのは少なくとも100年以上前。舟にみこしを乗せる管弦祭を参考に、漁師町だったことなどからわら舟を用い、男児の親らが長さ、高さとも約1メートルの舟を作る。
 午後8時ごろから分社前に、国旗やあんどんで華やかに飾り、帆に子どもの名を記した約30のわら舟が続々と集合。祈願を受けた舟を父親らが担いで海へ入り、沖まで泳いで流した。浜辺から家族が見守る中、舟は満月に照らされた夜の海をゆっくり進んでいった。